2024年6月3日
老後の住まい
高齢者向け施設と選び方のポイント

老後の住まいは、体力や健康状態、環境などを考慮する必要があります。安心した環境で暮らすには、選び方が重要です。高齢者向けの施設にはさまざまな種類があるため、自分や家族に適した場所を選びましょう。
この記事では、高齢者向けの施設の種類や選び方のポイントについて、わかりやすく解説していきます。老後の住まいはどこにしようかと考えている方は、参考にしてみてください。
1.高齢者向け施設の種類
高齢者向け施設には、公的施設と民間施設の2種類があり、その中でも「介護が必要な人向け」と「自立している人向け」に分けられます。
公的施設とは、国や地方自治体、社会福祉法人などが運営する施設で、知事の認可を受けた民間企業も事業を行うことは可能です。民間施設は、民間企業などが事業主体となります。
ここからは、それぞれの施設の特徴について説明していきます。また、介護の必要度に応じて★をつけているので、参考にしてください。
- 自立している人向け★
- 一部介護が必要な人向け★★
- 介護が必要な人向け★★★
施設の種類 | 特徴 |
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特別養護老人ホーム★★★ |
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介護老人保健施設★★ |
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介護医療院★★★ |
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軽費老人ホーム★ |
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ケアハウス(自立型)★ |
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ケアハウス(介護型)★★ |
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参照:厚生労働省「介護医療院 公式サイト」https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/
施設の種類 | 特徴 |
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介護付有料老人ホーム★★★ |
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住宅型有料老人ホーム★★ |
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サービス付き高齢者向け住宅★ |
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グループホーム★★ |
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参考:
厚生労働省「高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割」
https://www.yurokyo.or.jp/contents/pdf/3026-1厚生労働省「住まい支援の連携強化のための連絡協議会」
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000656699.pdf
要介護度やどの程度の介護が必要なのか、また、認知症の有無などによって入所できる施設が変わってきます。自分の状態や条件と照らし合わせて施設を選ぶとよいでしょう。
2.介護認定8つの区分
要支援・要介護認定には、「自立」「要支援1~2」「要介護1~5」の合計8つの区分があります。全国一律に定められた基準に基づいて、どの区分になるのか判断されます。
要支援より要介護の方が介護の必要性が高く、数字が大きくなるほど重度の状態です。介護にどの程度の手間がかかるのか、住んでいる市区町村が判断して認定します。要支援や要介護度に応じて、利用できる介護サービスの種類や頻度が変わるため、どの区分に認定されるかは重要です。
それぞれの介護度に応じた身体状況は以下のようになります。
要支援・要介護度 | 身体状況 | 具体例 |
---|---|---|
自立 | 一人で身の回りのことはできる。 | 介護が必要ない状態。 |
要支援1 | 一部介助すれば日常生活は送れる。 | 掃除など大きく身体を使う家事ができない。 |
要支援2 | 要支援1よりできないことは増えるが、一部介助すれば日常生活は送れる。 |
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要介護1 |
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要介護2 |
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要介護3 | 車いすに乗っている場合が多く、日常生活に多くの介助が必要。 |
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要介護4 |
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要介護5 |
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要介護認定には身体状況だけでなく、認知機能の状態も判断材料になります。
3.高齢者向け施設の入居条件
現在は住み慣れた自宅で住んでいるが、将来的には施設入居を考えている場合、どのような施設への入居ができるのでしょうか。
要介護3以上の認定が下りているなら、まずは特別養護老人ホームへの入所を考えてみましょう。しかし、入所を希望してもすぐに入れないことが多い状況です。申し込みをして待機状態の間は、介護老人保健施設や有料老人ホームに入居するケースもあります。
身のまわりのことができて介護は必要ない状態なら、介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅がよいでしょう。
ここからは、施設の入居条件や費用の目安などについて説明していきます。また、介護の必要度に応じて★をつけているので、参考にしてください。
- 自立している人向け★
- 一部介護が必要な人向け★★
- 介護が必要な人向け★★★
施設の種類 | 入居条件 | 退去条件 | 入居一時金・敷金 | 月額利用料(概算) |
---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム★★★ | 要介護3以上 | 終身まで利用可能。 | なし | 4.8~21.5万円 |
介護老人保健施設★★ | 要介護1以上 | 基本的に3ヶ月間の入居。 | なし | 5~18.8万円 |
介護医療院★★★ | 要介護1以上 | 終身まで利用可能。 | なし | 5~20万円 |
軽費老人ホーム★ | 自立から |
| なし | 6.1~15万円+介護費用 |
ケアハウス(自立型)★ | 自立(要支援・要介護は要相談) | 認知症が進行した場合や施設規定による医療ケアが必要になった場合。 | 0~1,000万円 | 7~30万円+介護費用 |
ケアハウス(介護型)★★ | 要介護1~要介護5 | 施設規定による医療ケアが必要になった場合。 | 0~数百万円 | 12.7~21.9万円+介護費用 |
介護付き有料老人ホーム★★★ | 自立~要介護5 | 施設規定による医療ケアが必要になった場合。 | 0~数億円 | 10~100万円 |
住宅型有料老人ホーム★★ | 自立~中度の要介護 |
| 0~数億円 | 8.8~40万円+介護費用 |
サービス付き高齢者向け住宅★ | 自立~要介護5 |
| 0~数十万円 | 8~30万円+介護費用 |
グループホーム★★ |
| 施設規定による医療ケアが必要になった場合。 | 0~20万円 | 12~30万円 |
※入居一時金・敷金及び月額利用料はあくまで目安の金額となります。
公的施設は入居金や敷金がなく、月額利用料も補助が受けられる可能性があります。民間施設は入居金が0~数億円と幅広く、月額利用料も公的施設と比べると高い傾向です。
月額利用料には、一般的に以下の項目が含まれています。
- 賃料
- 管理費
- 食費
- 水道光熱費や電話代
- その他の費用(日用品やおむつ代など)
施設によって内容が異なる場合もあるため、月額利用料に何が含まれているのか確認しましょう。施設を決める際には、月額いくらまで支払いができるのかシミュレーションを行い、希望や条件に合った施設を探すことが大切です。
4.施設の選び方のポイント
現在の身体状況やいつまで入居するのかなどによって、選ぶ施設も変わってきます。施設を探す際のポイントとして以下の項目をチェックしてみましょう。
- 医療的ケアの対応は可能か
- 看取りは行うのか
- 保証人や身元引受人の必要性はあるか
- 介護者が通える範囲か
- 施設の雰囲気になじめるか
- 食事が口に合うか
4-1.医療的ケアの対応は可能か
現在、持病の治療に必要な医療的ケアを受けている場合、入居しても継続できるのか確認が必要です。施設内の看護師が対応できなくても、外部の介護サービスを利用すれば医療的ケアが受けられる施設もあります。
4-2.看取りは行うのか
人生の最期をどこで迎えるのか、決めておくことも必要です。施設で迎えたいと思っていても、施設側で受け入れができない場合は退去する必要があります。入居前に必ず確認しましょう。
4-3.保証人や身元引受人の必要性はあるか
入居の際に保証人や身元引受人が必要なのか確認が必要です。保証人や身元引受人が必要な場合、まずは家族に頼んでみましょう。身寄りがなく知り合いや友人に頼めないときは、民間会社の保証人代行を利用する方法もあります。
保証人と身元引受人の違いは以下のようになります。
- 保証人:本人が入居費用を支払えなくなった際に代わりに支払う。治療方針の判断や入院手続きを行う。
- 身元引受人:本人が亡くなった場合、身元を引き取ることや後の手続きなどを行う。
4-4.介護者が通える範囲か
施設を決めるときには、家族や友人が、面会に行きやすい距離がおすすめです。距離が遠い場合、面会に行くことが面倒になってしまうことも多く、だんだん頻度が少なくなっていく傾向にあります。家族や友人に会えないことで孤独感を感じてしまい、心身の調子を崩すきっかけになる場合もあるため、注意が必要です。
4-5.施設の雰囲気になじめるか
入居したい施設が決まったら、見学や体験入居をしてみるとよいでしょう。実際に足を運ぶことで、パンプレットやホームページではわからないスタッフの印象や、全体の雰囲気が感じられます。自分が生活することを想像しながら、過ごしてみてください。
4-6.食事が口に合うか
毎日の食事も入居生活には重要な項目です。いくら健康に良い食事と言われても、自分の口に合わない場合、食事の時間が苦痛になってしまいます。食事の体験ができるなら、ぜひ試してみましょう。
5.自宅で過ごすか、それとも施設で過ごすか
高齢になってくると、住み慣れた自宅を離れ、積極的に高齢者施設に入居する方もいます。老後の住まいを考えるうえで、自宅と施設で過ごすメリットやデメリットを、それぞれまとめてみました。
メリット | デメリット |
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メリット | デメリット |
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このように、自宅と高齢者施設のどちらで生活するのが自分には合っているのか、自宅の環境や家族の状況も合わせて検討するとよいでしょう。
6.まとめ
高齢者向け施設の種類や入居条件など、説明してきました。自分自身が老後をどのように過ごしたいのか、考えを明確にすることが大切です。自宅か施設か、身体状況や介護度、費用も含めて検討してみてください。