2021年5月13日

認知症は予防できる!?生活習慣で意識したいポイント

認知症は予防できる!?生活習慣で意識したいポイント

「最近忘れっぽいんだよねー」「それ、認知症じゃない?」なんて会話をしたことありますよね!でも認知症とはどのような病気か詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
敵を知れば予防もできる、ということでまずは認知症について知識を深めましょう。そうして予防を考えていきたいと思います。

よく皆さんが心配する、忘れちゃった!というのは多くは「物忘れ」という状態です。物忘れは一過性のもので、何かの拍子に思い出したり、ヒントがあると簡単に思い出せたりします。物忘れは、加齢によって頻度が増しますが、誰にでも起きることであって、病気ではないため心配はいりません。
しかし、認知症は「病気」です。専門的にはアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症など細分化されますが、病気の根源は何かが原因で脳細胞が破壊され脳萎縮が起き、脳の機能が低下することによって起きるのです。

認知症の主な症状に、記憶障害や見当識障害、理解/判断力の低下、実行機能障害、失語・失認識・失行、があります。少し難しいですので簡単に説明していきますね!
記憶障害は、認知症の体表的な症状で、新しいことが覚えられなくなります。ついさっきした約束が思い出せなかったり、知人の名前が思い出せなかったりします。
見当識障害は、見当識という自分の置かれている状況や、自分の身の回りのことを正しく認識する機能が低下します。見当識は時・場所・人といい、今日は何月何日ですか?今どこにいるかわかりますか?この人は誰ですか?などの質問に答えることができなくなります。
理解判断力や実行機能が低下すると、2つ以上の出来事が起こるとうまく対処できずにパニックになってしまったり、目的を達成するためにどのようにすればいいかわからなくなったりします。例えば、いつも通っている道が工事中で通れないとき、どうしていいかわからず道の真ん中で立ちすくんでしまったりします。
失語とは、思っていることをうまく表現できなくなるため、質問されても口に出せずにどもってしまったり笑ってごまかしたりします。失行は普段できていることができなくなるために、ズボンを前後逆にはいてしまったりします。

このように認知症になると、今まで通りの生活を送るのが難しくなります。そのため、人生の最後まで認知症にならずに生きていきたい、と思う方も多いでしょう。では、認知症に対する理解が深まったところで、そうならないためにどのようにしたらいいのか、勉強していきましょう!
最初に言っておかなければいけない重要なことは、現代においても認知症予防に決定的な方法は見つかっていないということです。しかし、生活習慣の乱れが認知症発症に大きく関わることが分かってきています。そのため、毎日の生活を見直すことが、最大の予防であることといえます。それでは順にみていきましょう。

1)生活習慣病に気を付けよう

最近の研究で、認知症の発症に高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満という生活習慣病が大きく関係していることが分かってきました。揚げ物やラーメンなど、脂質の多いものばかり食べていると動脈硬化を引き起こし血管の状態が悪くなります。血液がドロドロになることも一つの要因です。気がつかないうちに、状態の悪い血管にドロドロの血液が流れ込んで、脳の微小血管が閉塞します。微小血管ですので目に見える大きな症状は出現しませんが、徐々に脳細胞が死滅していきます。そして気がつかない間に脳萎縮が進み、最終的には認知症となるのです。
この予防のために、普段から自分の健康状態を気にかけましょう。職場健診を活用したり、何かのきっかけで病院受診した際に相談したりするようにしましょう。もし高血圧や糖尿病が発見されれば安易に放置せず、早期から治療をしましょう。早期発見、早期治療が重症化させないコツです!

2)バランスのいい食事を心がけよう

生活習慣病が原因とお話ししましたが、その予防のためにもバランスよく食事を食べましょう。塩分や脂肪の取りすぎは生活習慣病の元ですね!
その中でも認知症予防への効果が期待される食べ物がいくつか分かってきています。代表的なものに、青魚や野菜、オリーブオイル、赤ワイン、大豆などが挙げられます。
青魚は、DHA/EPAというオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。昔からDHAは脳細胞の構成要素であり脳機能の向上に役立つといわれています。現代の研究でも、認知症予防に効果的とする報告があります。
野菜や果物には、ビタミンが豊富に含まれています。ビタミンCには抗酸化作用があり、ビタミンB群には神経の働きを回復させる作用があるといいます。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸に、抗酸化作用があることが分かっています。またアルツハイマー型認知症の原因物質が脳に蓄積するのを予防する効果もあります。
赤ワインをあげましたが、ポリフェノールには抗酸化作用があって認知症発症の予防効果がある、といわれています。なお、ポリフェノールには抗腫瘍効果もありますね。
大豆には抗酸化作用がある大豆サポニン、脂質の代謝排泄を助ける大豆レシチンという物質が含まれています。その抗酸化用によって動脈硬化予防に効果があり、脂質の代謝を助けて脂質異常症予防にもなります。
予防には食事を見直すことが大切です。ただし、過ぎたるは及ばざるが如し、です。青魚ばかり食べたり、過度な糖質制限、脂質制限などされたりする方もいますが、これは逆効果です。何事もバランスが大事と覚えておいてください!

3)適度な運動習慣を身につけよう

高齢者の定期的な運動には認知症を予防する効果がある、といわれています。特に、有酸素運動をお勧めします。有酸素運動というのは、軽く息が上がるくらいの、無呼吸にならない運動です。代表的なものに、ウォーキング、水泳(水中ウォーキング)、ヨガなどがあります。有酸素運動では脳血流の増加で脳細胞を活性化させる上に、酸素を使用して脂肪を消費して筋肉の栄養になることが期待できます。内臓脂肪が減り、食事から摂取した糖分を栄養にすることで血糖値の低下も期待できます。
どのくらいやればいいの?と気になると思います。1回30分程度、週3回が目標です。そんなに時間がとれないよ、という方もいると思います。目標を高くしすぎて3日坊主では意味がありません。急な運動を始めたあまり、怪我をしたり関節を痛めてしまったりしても長続きしません。まずは、自分の生活の中で運動できる場所を探して(例:エレベーターを使わず階段を使う、近場なら歩きや自転車を使用する)、できる範囲から始めていきましょう。運動になれてきたら徐々に強度をあげていきましょうね。
最近では、国立長寿医療センターが開発した「コグニサイズ」という、運動と課題を同時に行う認知症予防のエクササイズがあります。運動しながら、脳を活性化させる課題を行うとういものです。興味ある方は一度調べてみてはいかがでしょうか?

4)過度な飲酒、喫煙に気を付けよう

喫煙のリスクに関しては皆さんご存知の通りです。肺がんの危険因子として有名だと思いますが、もちろん認知症のリスクにもなります。喫煙者の認知症発症リスクが、非喫煙者と比較して2倍になると言われています。そして喫煙の難しいところは、ご自身が吸わなくても身近な人が喫煙していると、受動喫煙といって、喫煙者同様に認知症のリスクがあがります。皆さんの中には、もう何十年も吸っているから今更やめても効果ないはず、と考えている方がいるかもしれません。しかし、日本の研究で中年期からでも禁煙すれば認知症発症リスクが下がることも分かっています。禁煙は、脳卒中や心筋梗塞、癌などの発症リスクを下げる効果があるのです。今日からでも遅くありません、ぜひ喫煙習慣を見直しましょう。ご家族に喫煙される方がいる場合は、ぜひ自分にも影響があると認識して、禁煙のサポートをできるといいですね!

では、飲酒はどうでしょうか。飲酒も同様に認知症発症のリスクになることが分かっています。大量のアルコール摂取習慣がある方は、そうでない方に比べて4.6倍も認知症発症リスクがあがるとの研究があります。アルコール摂取が直接的に脳萎縮を進めるためです。晩酌が楽しみ、やめられないという方も多いと思います。飲酒に関しては350㎖ビール1本程度の飲酒に認知症発症への危険はないですが、1日に4本以上飲む方は危険です!休肝日をつくり、飲酒量を見直しましょう!

5)他人とコミュニケーションをとることが大事

なぜ?と思われるかもしれませんが、人とのコミュニケーションを多くとっている方が認知機能の衰えが少なかった、という研究があります。人とコミュニケーションをとるということは、約束をしたり、次にその約束のためにどうするかを考えたり、相手の表情しぐさから感情を読み取ろうと注意を払っていたりというふうに、無意識に脳の知的活動を活発に行っているのです。地域の過疎化や核家族化などにより、夫婦間でしか会話をしない、独居になって1日誰とも会話をしない、という方も増えてきています。
コミュニケーションの場を増やすのは簡単ではないかもしれませんが、少しアドバイスができればと思います。遠方に住む家族とテレビ電話をしたりするもの一つの手段ですし、最近では行政が主体になり、地域交流事業(例:高齢者いきいきサロン)なども開催されています。もし、誰かと話したいけど話し相手が、と悩んでいる方がいたら少し外に目を向けてみるのもいいかもしれません。囲碁や将棋、釣り、スポーツなど趣味を生かしてコミュニケーションを取りに行くのもいいかもしれませんね!ジムに通って運動習慣をつけ、仲間を見つけることは一石二鳥ですね!

いかがでしたでしょうか?認知症は、高齢者の5人に1人が発症するといわれているありふれた病気です。もちろん、周囲のサポートがあって、認知症になっても普段通り生活できる方も多くいるので、過度に心配する必要はありません!ただ、これをきっかけに普段の生活習慣を見直してみてください。認知症予防だけではなく、きっと今よりもっと健康になれると思いますよ。

参考文献:

Luchsinger JA,et al: Aggregation of vascular risk factorsand risk of incident Alzheimer disease. Neurology,2005;65: 545-551

Verghese J, et al:Leisure activities and the risk ofdementia in the elderly. N Engl J Med 2003;348:2508-2516

Ilianna Lourida et al: Association of Lifestyle andGenetic Risk With Incidence of Dementia. JAMA.2019;322(5):430-437.

国立長寿医療研究センターHP
https://www.ncgg.go.jp/kenshu/kenshu/27-4.html

村上 友太

村上 友太(医師、医学博士)

福島県立医科大学医学部卒業後、同大学脳神経外科学講座にて研鑽を積む。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教を経て、現在は青森新都市病院勤務。脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医。

『このコラムの内容は掲載日時点の情報に基づいています。最新の統計や法令等が反映されていない場合がありますのでご注意ください。個別具体的な法律や税務等に関する相談は、必ず自身の責任において各専門家に行ってください。』

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