2023年1月16日

お墓じまいを考えている方必見!
手続や費用について解説

お墓じまいを考えている方必見!<br>手続や費用について解説

近年、ライフスタイルや家族形態の変化により、代々のお墓を継承して管理することが難しく、お墓をどうすれば良いのかと悩む方は少なくありません。そのような場合の解決策の一つにお墓じまいというものがあります。

今回は、お墓じまいのやり方やお墓じまいにかかる費用について解説します。お墓の継承に不安をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

1)お墓じまいとは

お墓じまいとは、お墓からご遺骨を取り出して、お墓を解体・撤去し更地に戻すことを言います。

一般的にお墓とは、ご遺骨やご遺体を埋葬する場所であり、墓地以外の場所にお墓を建てることはできません。そのため、お墓を建てる時には墓地を取得する必要があります。その際、墓地の管理者である寺院や霊園に使用料を支払います。この使用料は、永代使用料となり墓地を取得した時のみ支払うものですが、あくまでも使用権であり、墓地の所有権があるわけではありません。

そのため、お墓じまいをして更地になった敷地は、墓地の管理者に返還する必要があります。また、ご遺骨は埋葬法によって、墳墓に納めなければならいと決められているため、お墓から取り出したご遺骨は他のお寺や霊園などに納骨し、供養しなければなりません。言うなれば、ご遺骨のお引越しというイメージですが、このことを改葬といいます。一部の例外を除いて、お墓じまいをすることは改葬をすることと考えておくとよいでしょう。

実際にはどのくらいの人がお墓じまい(改葬)をしているのでしょうか。労働省の衛生行政報告例によると、2020年度の改葬数は117,772件となっています。2000年の改葬数は66,643件であり、この20年で約1.8倍に増加しており、お墓じまいは珍しいことではなく、さまざまな理由でお墓じまいをする人が増加していることがわかります。

お墓じまいをすることになった理由はというと、次のようなものが挙げられます。

① お墓が遠い

親族から先祖代々のお墓の管理を任された人が、転居などで遠方に住んでいると頻回にお墓参りに行くことが難しくなります。また、お墓への交通の便が悪い、山の上にあるため高齢になりお墓参りに行くことが困難になってきたなど、お墓の立地上の問題でお墓参りに行けなくなるという事もよく耳にします。

② お墓を管理してくれる後継者がいない

少子化や子どもがいないなどの理由で、お墓の管理をしてくれる後継者がいないケースが増えてきています。

③ お墓の維持管理にかかる費用が負担に感じる

お墓を維持するためには、墓地に管理料を支払う必要があります。また、法要などで寺院に支払うお布施や墓石のメンテナンス、お墓参りに行くための旅費なども必要になり、かなりの維持費がかかるものです。お墓じまいをして、納骨堂などを利用すれば、お墓のメンテナンスにかかる費用を節約することができます。また、家の近くにお墓を改葬することで、遠方にお墓参りに行く旅費を減らせます。

④ 子どもに負担をかけたくない

お墓の管理が大変だと感じている人は少なくありません。そのため、自分が経験してきた大変な思いを我が子にさせるのは忍びないと考えて、お墓じまいをされることもあります。

2)お墓じまいの手続きの流れ

お墓じまいをするには、法律の規定に従ってさまざまな手続きや許可が必要になります。そのため、お墓のある場所が遠方である場合などでは、時間に余裕を持って計画的に進めていきましょう。

① 親族にお墓じまいの相談をする

お墓じまいを検討する時には、親族と良く話し合って、後になってトラブルにならないようにしておかなければなりません。

② 現在の墓地管理者や寺院に相談する

菩提寺の檀家になっている場合、お墓じまいをするということは、檀家をやめるということになります。そのため、菩提寺に対してなかなか言いづらいかも知れません。

しかし、お墓じまいではお墓の解体を行う際に魂を抜くための特別な法要を行う必要があります。また、急に離壇の話を持ち掛けることで菩提寺とトラブルになることは避けたいものです。ですから、墓地の管理者や菩提寺の住職にお墓じまいを検討し始めた段階で、きちんと理由を述べて相談しておきましょう。

③ 新しいご遺骨の納骨先や供養の方法を決める

墓じまいをした後の納骨先や供養の方法を決めておく必要があります。改装先になる霊園や墓地を探し、あらかじめ契約をしておきます。これは、ご遺骨を取り出す許可をもらうには、改葬先があることを証明する必要があるためです。

改葬には、新しくお墓を建てるほか、永代供養墓や納骨堂、樹木葬、散骨などお墓を建立しない方法もあります。また、新しくお墓を建てる場合は建立工事が完了するまで1~2か月ほどかかるため、注意が必要です。

④ お墓じまいに必要な行政手続きを行う

お墓じまいには法的な手続きが必要で、現在の墓地を管轄する自治体の許可が必要になります。改葬することが決まったら、「改葬許可申請書」を取り寄せて墓地の所在地の市区町村へ提出します。

改葬許可申請書は市町村のホームページからダウンロードが可能な場合や、郵送で送ってもらえます。

「改葬許可申請書」には、墓地管理者に埋葬していることを証明してもらう必要があります。「改葬証明書」に埋葬証明の欄がある場合や、別の様式に記載してもらう場合があります。記載の依頼は書類を持参するほか、郵送でも受け付けてもらえる場合もあり、墓地管理者に確認しておきましょう。

もし、改葬許可申請書の申請者が墓地使用者と異なる場合は、墓地使用者の改葬についての承諾書が必要になります。あてはまる場合は一緒に提出できるように入手しておいてください。また、申請に必要な書類は、自治体によって異なることがあります。必ず事前にホームページなどで必要書類の確認を行い、不備がないように気を付けましょう。

「改葬申請書」、「現在の墓地の埋葬証明」、「墓地使用者の承諾書」、「改葬先の受け入れ証明書類」など申請に必要な書類が揃えば、自治体に申請書類を提出します。書類が受理されれば、「改葬許可証」が発行されます。

この、「改葬許可証」はお墓を解体し、ご遺骨を取り出す際に必要です。そのため、郵送でやり取りする場合はお墓を解体する日に間に合うように、早めに申請しておくようにしましょう。

⑤ 遺骨の取り出しと墓石の解体・撤去

墓石を解体し、ご遺骨を取り出す際には、閉眼供養の法要を執り行うことがあります。ご遺骨が取り出されたら、お墓の解体工事を行い更地に戻します。ただし、お墓の解体は専用の業者に依頼することになり、自分たちで探す場合と、墓地に特定の解体業者を指定される場合があります。墓地の管理者と相談しながら、専門業者の選定を行っていきましょう。

⑥ お墓を移転し納骨する

新しい墓地にご遺骨を移し、納骨します。なかには、墓地への納骨をせず、ご遺骨を自宅に安置する手元供養や、ご遺骨をパウダー状にして海や山などに散骨するという新しい供養の仕方を選択されることもあります。

3)お墓じまいにかかる費用

お墓じまいには、多くの手順が必要でありその分費用もかかることになります。具体的に何にどのくらいの費用が必要なのかは、以下のようになります。

① 改葬許可申請書の入手・申請

改葬許可申請書は、ホームページからダウンロードして入手できることも多く、入手や申請に関しては無料の場合がほとんどです。

② 受入れ証明書の入手

新しい墓地にご遺骨を納骨することを証明する受入れ証明書は、改葬先の墓地に依頼し、費用は無料から数千円程度です。自治体によっては、墓地の契約書などの写しで代用が可能な場合があります。

③ 埋葬許可証

埋葬許可証は、現在納骨されている墓地や寺院に発行してもらいます。費用は無料から数千円程度となります。

④ 墓石の解体

墓石の解体は、専門の石材店が行うことがほとんどで、墓地や寺院の指定石材店に依頼しなければならない場合と自分で探さなければならない場合があります。墓石の解体費用は、お墓の区画の面積やお墓の形状によって異なりますが、1平方メートルあたり10~15万円程度が相場となります。ご自身で探す場合は2、3社の見積もりを取って比較しましょう。

⑤ 閉眼供養料

閉眼供養の法要は、僧侶に読経してもらい、お礼としてお布施をお支払いします。1~10万円程度が相場となりますが、お布施に明確な決まりはなく、普段の供養の時のお布施の金額を参考にすると良いでしょう。

⑥ 離壇料

寺院の檀家になっている場合では、長年にわたり菩提寺との関係が続いていたということも少なくありません。そのため、離壇して欲しくないと考える菩提寺とトラブルになり、埋葬証明書の発行を渋られたり、高額な離壇料を請求されたりというようなこともあるようです。

そのようなことを避け、これまでのお礼も込めて円満に離壇できるように、お互いに納得のいく金額を離壇料として包むようにします。相場としては、10~20万円程度と言われていますが、これまでの関係性やお布施の金額を参考にして離壇料を決めると良いでしょう。

このほか、新しい墓地や墓石の取得にかかる費用や永代供養などの供養にかかる費用、納骨の際の開眼供養料など、新しい改葬先での費用が必要になります。そのため、お墓じまいにかかる費用の総額は、100~300万円とも言われます。

家族によって管理ができなくなったお墓は無縁墓になってしまうリスクがあります。そこで、無縁墓を増やさないように、自治体によってはお墓じまい後に申請をすると、補助金として支払った金額の一部を受け取れるところがあります。自治体によって、受給資格が違うためお墓じまいの費用が負担と感じるときは、事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

今後のお墓の継承に不安があるという方にとって、お墓じまいは自分や子どもへの負担を減らせる方法のひとつです。お墓の管理は年を取って来るとますます大変になってきます。ひとりで悩まずに家族や親族とよく話し合って最善の方法を検討するようにしましょう。

寺岡 純子

寺岡 純子(主任介護支援専門員、看護師、終活カウンセラー1級)

合同会社カサージュ代表。8年間の臨床看護を経て、介護保険の開始に伴い介護業界へ転向。全国展開している大手介護事業者でさまざまな介護サービスの運営・人材育成・新規事業開拓を経験。医療・介護の幅広い知識と経験を多くの人に届けたいとの思いから独立。介護現場・事業者・利用者・医療・介護の視点から、介護事業者・要介護者・家族をサポートする事業を行っている。

『このコラムの内容は掲載日時点の情報に基づいています。最新の統計や法令等が反映されていない場合がありますのでご注意ください。個別具体的な法律や税務等に関する相談は、必ず自身の責任において各専門家に行ってください。』

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