2021年5月13日

前向きに人生を楽しむための「終活」の始め方

前向きに人生を楽しむための「終活」の始め方
目次
終活はなるべく早く始めましょう
終活のとらえ方
ふたつの終活の目的を意識する
終活の始め方
エンディングノートで人生の棚卸を
エンディングノートに記載すること
終活として行うこと
終活は誰かと一緒にやってみる
まとめ

終活はなるべく早く始めましょう

終活を始めるのであれば、なるべく早くから取り組んでいくのが正解です。なぜなら、個人差はありますが終活で実施することは多岐に渡るため時間がかかるだけでなく体力も要するからです。また、終活をする目的を家族に迷惑をかけないためと考えている人は少なくありません。しかし、終活は家族に向けて行うのではなく、その時から最期の時まで自分らしい人生を送ることを目的とし、前向きにとらえていくべきです。そのような考え方が、終活自体を楽しくし、この先の人生を有意義に送るための原動力になることでしょう。

では、人生を前向きにする終活とはどのように始めればよいのでしょうか。

終活のとらえ方

終活という言葉は私たちの生活に浸透し、実際に終活を行っている人やいずれはやってみたいと考えている人の割合は増えてきています。また、実際に終活を行うことにしたきっかけを聞いてみると、定年などの人生の節目や周囲の人に不幸があった、環境の変化や健康状態への不安という答えが多く前向きな終活ではなく、自分に万一のことがあった時に迷惑をかけないために行うという人がまだまだ多いのが現実です。

それを裏付けるように、「終活」という言葉を聞いてどのようなイメージを持ちますかと聞くと、身辺の整理をする、お墓や葬儀の準備をするなどによって自分らしい最期が送れるように準備をすることというイメージの方が多く、ネガティブな印象を与えるため家族間で終活の話はしにくいという声も聞かれます。

楽天インサイトの「終活に関する調査」(https://insight.rakuten.co.jp/report/20180215/)によると、終活を始めたい年齢は4割以上が60代、70~74歳が約2割となっています。また、20~50代の人は60代で終活を始めたいと考えている人の割合が最も高くなっているところ、その60代の人は70代で終活を始めたいと回答をしています。このことから、大半の人は自分が終活を始めるのはまだ先の話だと捉えている事がわかります。

ふたつの終活の目的を意識する

終活を行う目的は、大きく分けると家族に迷惑をかけないことと、自分らしいより良い人生を送り最期の時に後悔しないようにするということです。

しかし、70代で始める終活は体力的にも精神的にも負担が大きく、満足いく終活ができないリスクを抱えています。つまり、遺言書の作成や身辺整理などの死に向けた準備に重点を置くことになり、自分のためではなく家族に迷惑をかけないことを目的とした終活になってしまします。

終活のメリットは、いずれやって来る死の瞬間に後悔する事がないよう、やり残したことがなく自分らしい生き方をすることにあります。そのためには、体力や気力が十分にあるうちに終活を始めるのがベストです。

終活の始め方

終活といってもその内容は多岐にわたるため、何から始めればよいのかと迷ってしまうことも多いでしょう。そのような場合はエンディングノートを書くことから始めると良いでしょう。エンディングノートは自分の情報をまとめて書いておくもので、書店や文具店で市販されているもののほか、インターネットでダウンロードできるもの、役所や業者が配布しているものなどいろいろな種類があります。

エンディングノートに書く内容は、それぞれで若干の違いがあるため、いくつかのエンディングノートを比較して自分に合うものを探してみるようにすると良いでしょう。しかし、最初からあまり項目の多いエンディングノートを選んでしまうと、途中で挫折してしまう可能性が高くなり要注意です。初めてのエンディングノートは、項目が少ないと感じるくらいのものの方がストレスにならずおすすめです。

また、市販のエンディングノートを使用するほか必要な内容を大学ノートにまとめるという方法もあります。いずれの場合でも、体力も時間も気力もある時であれば内容の多いものでも負担に感じにくいでしょう。

エンディングノートで人生の棚卸を

エンディングノートは、書き始めても途中で挫折してしまうことが多く書き進めるのが難しいことがあります。そのような事を回避するためには、書きやすい項目から書き始めすべてを埋めようとしないことです。そして、誕生日や年末など定期的に見直しをしていくようにします。

特に、これまでの生活を振り返る自分史や家族や友人について振り返ることで人生の棚卸となり、自分らしい生き方を見つめ直すきっかけになります。周囲の人との付き合い方や、やり残していることはないかを見つめ直し、実行に移していくようにしましょう。

エンディングノートに記載すること

エンディングノートには何を書いても構いませんが、家族に迷惑をかけないようにすることや自分らしい人生を送るために次のようなことを書いておくようにします。

  • 自分の情報

    名前の由来や出生の場所、親、配偶者、子どもとの思い出などの自分に関する情報を記載しておきます。

  • 自分史、これまでの生活について

    学歴や職歴、これまで住んだことのある場所、旅行で行ったことがある場所など自分がそのような人生を送ってきたのかが分かる情報をまとめ、人生の棚卸をします。

  • 生活上の契約事項

    携帯電話やオンラインで契約した情報、インターネットにアクセスするための情報などをまとめておきます。

  • 望む介護・医療・延命治療について

    万一の時に備えて、どこで、どのような介護を受けたいのか、病気の告知をどのようにしてほしいか、延命治療や臓器提供に関する意思表示などを記しておきます。

  • 葬儀やお墓のこと

    希望する供養の形やお葬式の規模や内容のほか、生前契約している墓地やお墓の情報を書いておきます。

  • 財産(預貯金・株・不動産など)や相続について

    預貯金や負債、所有している不動産、株などの有価証券、年金などの情報をまとめておくようにします。

  • 加入している保険について

    生命保険や傷害保険など加入している保険の内容や連絡先、受取人についてまとめておきます。保険加入や受取人に変更の必要がないかも確認するようにし、変更の必要性の有無を検討します。

  • 親しい友人の連絡先

    自分に万一のことがあった場合に知らせてほしい人などをまとめておくようにします。

  • 家族や友人へのメッセージ

    家族や親しい友人にあてて感謝の気持ちや思いを書き記しておきましょう。

  • その他伝えたいこと

    金銭以外のもので誰かにもらってほしいものや、ペットのことなど自由に書きましょう。

これらすべてを書く必要はありませんので、最初は必要そうなところや気になっているところから書くようにすると良いでしょう。また、エンディングノートは一度書いたら終わりではなく、定期的に見直しすることや追記をしていくようにします。

終活として行うこと

エンディングノートを書くことで浮かび上がってくる終活で行っていくことは、優先順位は人それぞれですが次のようなことがあげられます。

  • 遺言書の作成

    エンディングノートには法的な拘束力はありません。財産分与などの項目は必ず遺言書の作成を行っておく必要があります。

  • 財産の整理

    自分の財産がどのくらいあるのかを知り、不要なものをまとめる、解約するなどします。

  • 保険の整理

    保険の内容を見直します。

  • 生前整理

    不用品の処分、人間関係の整理や年賀状終い、情報の整理を行っておき、家族の負担を軽減できるようにします。

  • お墓や遺影写真の準備

    自分入るお墓を購入する、永代供養の費用を支払っておくなどで準備をしておくほか、自分らしさが表現された遺影写真を準備しておく人もいます。

  • 葬儀について考える

    葬儀の時に使用してほしい音楽や遺影写真の希望があれば分かるようにしておくとよいでしょう。また、葬儀は本来、遺族が故人のために執り行うものですが、生前に自分で葬儀場と契約をして、どのような葬儀にするのかを決め準備をされている人も増えてきています。

  • 家族や親しい人へのメッセージを残す

    家族や親友との思い出を回想し、それぞれに感謝のことばをメッセージとして残しておきます。口ではなかなか言えない感謝の気持ちを綴っておくようにしましょう。

  • 医療や介護について考える

    医療や介護の希望の形を意思表示しておきます。それと同時に口頭で伝えて、家族に自分の気持ちを知っておいてもらいましょう。

  • やり残したことをしていく

    自分史を作成し、これまでの生活を振り返ることで、自分の人生においてやり残していることに気が付くことがしばしばあります。これから先の人生をどのように生きて行くのかを明確にして、なりたい自分になれるようにどのような行動をすれば葉いのかを具体的に計画していきましょう。

  • 毎日の過ごし方を考える

    終活で自分らしい生き方を明確にし、この先毎日をどう過ごしていくのかを考え、悔いのない人生を送れるようにします。

これらをすべて実行するには体力も時間もかかるため、興味や必要性の高いものから順に進めて行きましょう。

終活は誰かと一緒にやってみる

自分らしい人生を送るための終活は、一人で頑張ろうとせず終活カウンセラーなどの終活の専門家に相談し、計画的に行うこともおすすめです。また、配偶者や親などと一緒に行い、お互いの気持ちについて伝えておき、理解を得ることが終活では大切なことです。

死を迎えるための準備としてだけでなく、これから先の人生を有意義なものとするために何が必要なのかを知る手段として、終活は大いに役に立ちます。終活を行うことで勇気づけられることも多く、親外の関係性を良好にするのに役立つこともあるでしょう。

まとめ

人生を前向きに生きるための終活にするためには、年齢にかかわらず終活という言葉が気になった時に行うのが一番です。終活という言葉が気になった時が、人生の楽しみ方の節目であり、終活のベストな始め時になります。終活を死に支度ととらえるのではなく、自分の人生を輝かせるためのものであると考え、エンディングノートを書くことから気軽に始めていきましょう。

寺岡 純子

寺岡 純子(主任介護支援専門員、看護師、終活カウンセラー1級)

合同会社カサージュ代表。8年間の臨床看護を経て、介護保険の開始に伴い介護業界へ転向。全国展開している大手介護事業者でさまざまな介護サービスの運営・人材育成・新規事業開拓を経験。医療・介護の幅広い知識と経験を多くの人に届けたいとの思いから独立。介護現場・事業者・利用者・医療・介護の視点から、介護事業者・要介護者・家族をサポートする事業を行っている。

『このコラムの内容は掲載日時点の情報に基づいています。最新の統計や法令等が反映されていない場合がありますのでご注意ください。個別具体的な法律や税務等に関する相談は、必ず自身の責任において各専門家に行ってください。』

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