2022年12月26日

エンディングノートにはなにを書く?
メリットから注意点までを解説!

エンディングノートにはなにを書く?<br> メリットから注意点までを解説!

今では終活という言葉はたくさんの人に認知されています。実際に終活をしてみたいと考えてエンディングノートを買ってみたけど、なかなか書き進められない、数ページ書いて挫折したという話をよく聞きます。

そこで、今回はエンディングノートを挫折なく効果的に書き進めるための方法を紹介します。これから、エンディングノートを書いてみようかと考えておられる皆さんは、ぜひ参考にしてみてください。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、人生の終焉期を見据えながらご自身の希望を書き記し、身近な人に自分の意思を伝えるためのものです。また、ご家族などが知らない自分の情報や財産などについて知らせる役割も果たします。

エンディングノートと遺言書の違い

終活相談を受けていると、いろいろ書き残しておくにはエンディングノートと遺言書ではどちらが良いのかと聞かれることがあります。エンディングノートと遺言書は根本的には別ものですので注意が必要です。

遺言書は、主に財産分与について書かれており、遺言者が手書きで記載する「自筆証書遺言」と公証人により作成される「公正証書遺言」、公証役場に自分が作成した遺言書を保証してもらう「秘密証書遺言」があります。いずれの場合も、記載の方法や記載するべき内容など細かなルールが定められており、正しく作成しなければ無効になってしまいます。

ルールに則って作成された遺言書は法的効力を持ちますが、エンディングノートには法的効力がありません。そのため、相続に関する意志を実現させるためには遺言書を作成する必要があります。また、生きているうちに家族などに内容を公表してもよいエンディングノートに対して、遺言書は死後にルールに基づき開封しなければならない点にも気を付けなければいけません。法的効力はないものの、手軽さという点ではエンディングノートが優っています。

エンディングノートに残せる内容

ルールに縛られず、手軽に始められるエンディングノートには何を書いても構いません。どのようなことを書くのかは、家族関係やその人の置かれている状況によって違ってきます。

ご自身が伝えたい思いや、日常生活で必要な情報、意志の表出ができなくなった時に家族が判断材料とする内容など、次のようなことを書いておくとよいでしょう。

自分について

自分の基本情報、名前の由来や出生場所、学歴やこれまでの仕事についてなど、自分に関すること、家族との思い出などを書きます。また、万一の時に知らせて欲しい友人等の連絡先なども記載しておくようにしましょう。

これらの情報を整理していく事で、これまでの自分の人生を振り返ることができ、まだやり残していることや、やりたかったことなどが思い出され、これからをどう生きていくのかに役立つことがあります。

日常生活での細やかな契約事項

電気やガスなどのライフラインや携帯電話、駐車場、習い事などの契約先や連絡先をまとめてわかるようにしておきます。近年は、インターネットのプロバイダーやネット銀行、仕事や趣味などの会員登録など、オンライン上で契約を締結することも増えています。そのため、自分がどのような契約をしているのかを明らかにしておきましょう。それにより、必要のない契約を整理することにもつながります。

財産について

預貯金や株などの有価証券、不動産などの財産についてリスト化し、通帳等の保管場所も分かるようにしておきます。万一、認知症などで判断能力が低下してしまうと、銀行口座は凍結されるリスクがあります。また、家族であっても不動産の売却は代理では出来ません。そういった際の財産管理について、任意後見人や家族信託などの対策をしている場合はその内容も書いておきます。また、財産については借入金など負の財産も忘れずに記載してください。

遺品について

自分が亡くなった後、思い入れのある品物や高価なもので誰かに譲りたい物がある場合には、誰に何を渡したいのかを明確にしておきます。

保険について

生命保険などに加入している場合は、保険の種類や連絡先を書いておくと、自分で請求できない場合に代理で申請してもらうことができます。ただし、死亡保障に関しては、受取人が請求をしなければなりません。そのため、加入している保険の受取人は誰かを明確にしておく必要があります。

介護について

介護が必要な状況になったときに、どこで、どのような生活をしていきたいと考えているのか、誰に介護をして欲しいと思っているのかなどの意向を書いておきます。また、自分で意思の決定ができなくなった時に、代わりに意思決定してもらいたい人についても書いておきましょう。

元気なうちにしっかりと思いをまとめ、準備をしておく事、普段からその思いを家族に伝えておく事が、自分の意思に基づいた介護を受けることにつながります。

医療について

入院すると、病院からこれまでの既往歴や健康状態、普段飲んでいる薬、かかりつけ医などの聞き取りをされます。自分で答えられない状況も鑑みて、家族がわかるようにまとめておくようにします。

また、病気の告知や延命処置についての考え方は人それぞれ違います。病名は「一切知らせてほしくない」「全て包み隠さず教えてほしい」「余命は伝えないでほしい」など、自身の考えがわかるようにしておきましょう。延命治療についても、「一切受けたくない」や「少しでも助かる見込みがあれば受けたい」など、本人の意思がわかると医療者や家族にとって重大な判断をする手助けになります。そのため、できるだけ具体的に記載しておくようにします。

葬儀・供養について

近年の葬儀は、通夜と葬儀を執り行う従来からの一般葬、家族や親しい友人のみで行う家族葬、火葬のみを行うなど多様性の時代となっています。自分の希望する葬儀の形や、宗派などがわかるようにしておきます。また、供養の形も、従来の寺院や霊園での供養、納骨堂や樹木葬、海洋散骨など、さまざまな方法があるので、希望があれば書き記しておきましょう。

今では、事前に葬儀や供養の準備をして、その時に備えている方も珍しくありません。既に、遺影写真や葬儀、お墓の準備、永代供養の契約などをしている場合は、わかるようにしておきましょう。

家族へ思い

家族や親しい友人などへの感謝の気持ちをエンディングノートに残しておくとよいでしょう。

その他

ペットを飼っている時には、自分が世話できなくなった時のことも考えておかなければなりません。その他にも、気掛かりなことがあれば自分の考えをまとめておきましょう。

エンディングノートのメリット

エンディングノートは遺言書に比べて安価で気軽に始められるのが最大のメリットです。そして、気持ちが変わればいつでも書き直せるのがエンディングノートの良いところです。

ただし、チャレンジされる方も多い一方で、途中で挫折してそのままになっているという方も多いのがエンディングノート。しかし、ちょっとしたことに気をつけるだけで、挫折しないでエンディングノートを作ることが可能です。

挫折しないエンディングノートの書き方

書きたいところから書く

たとえば、多くのエンディングノートでは、最初に自分の情報を記載するようになっています。しかし、自分についての項目は、家族の連絡先など、必ずしも必要ではない項目もあります。そのため、準備したエンディングノートの順番に沿って、すべて書こうとするとそれだけで疲弊してしまい、なかなか筆が進まなくなってしまいます。

自分にとって書きたい、必要性が高いと思うところから書き進め、定期的に内容の見直しや追記をすると、心理的にも時間的にも負担が軽くなり、挫折しにくくなります。

エンディングノートの選び方に気をつける

エンディングノートは、市販されているものを購入する、役所などで配布しているものをもらう、インターネットからダウンロードする、アプリを使用するなど様々な方法で入手することができます。この際、最初から項目の多すぎるエンディングノートを準備してしまうと挫折するリスクが上がります。もし、入手したエンディングノートの項目が多いと感じる場合は、優先順位をつけて書きにくいところは書かずに開けておくことで全く問題ありません。

また、エンディングノートは遺言書のように書き方や形式の決まりがなく、普通のノートに必要なことだけを書いても構いません。書き残すほかにも、映像や音声で残すことも可能です。思い立った時にスマホなどを利用して、気軽に録音や動画に残していくなど、自分にぴったりな方法を見つけていくと良いでしょう。

エンディングノートの注意点

エンディングノートに書いたことは、時が過ぎれば内容に変更が生じたり、考え方が変わるかもしれません。定期的に見直して、常に最新の意思を反映し、書けていない部分は少しずつ考えをまとめていくとよいでしょう。一度書いたらそのまま放置とならないように、誕生日など特定の日を決め、定期的に自分のエンディングノートを読み返して見直す機会を持つことをお勧めします。そして、エンディングノートの変更や修正をする時は、記入した日付を入れて、どれが最新かがわかるようにします。

また、エンディングノートは保管場所を伝えておく必要があります。スマホなどの電子機器にデータ保存してある場合は、パスワードが分からず見ることができないという事がないように気を付けましょう。この際、まだ今は中身を見られたくないと思うような場合には、見られたくない項目の部分の上から紙を貼って隠すなどの工夫や、どのような状況になれば見てほしいのかを伝えておきましょう。

おわりに

法的効力を持たないエンディングノートですが、自分はどのように考えていたのかを常日頃から家族に知ってもらっておきましょう。エンディングノートに書いてあるから大丈夫ではなく、日ごろから自分の意思を家族に伝えておくことも大切です。そうすることで、家族間で揉めたり、自分の意思にそぐわない対応をすることは避けられるのではないでしょうか。

エンディングノートは、人生の終焉に向けての準備という役割だけではありません。自分だけのエンディングノートを通して、やり残していることやこれからしなければならないことを整理して、有意義な人生が送れるようにしてみませんか。

寺岡 純子

寺岡 純子(主任介護支援専門員、看護師、終活カウンセラー1級)

合同会社カサージュ代表。8年間の臨床看護を経て、介護保険の開始に伴い介護業界へ転向。全国展開している大手介護事業者でさまざまな介護サービスの運営・人材育成・新規事業開拓を経験。医療・介護の幅広い知識と経験を多くの人に届けたいとの思いから独立。介護現場・事業者・利用者・医療・介護の視点から、介護事業者・要介護者・家族をサポートする事業を行っている。

『このコラムの内容は掲載日時点の情報に基づいています。最新の統計や法令等が反映されていない場合がありますのでご注意ください。個別具体的な法律や税務等に関する相談は、必ず自身の責任において各専門家に行ってください。』

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