相隣関係とは?お隣さんとのルールについて解説!

相隣関係とは?お隣さんとのルールについて解説!

2021年に公布された民法等改正では、相続登記の義務化や相続土地国庫帰属法の創設などの重要な改正が行われます。これらの改正には相隣(そうりん)関係に関する改正も含まれています。
相隣関係といってもピンとこない方もいると思います。相隣関係とは隣地、つまりお隣さんとの不動産との関係のことで、民法ではこの相隣関係についても規定されています。
本記事では、お隣さんとのルールである相隣関係について、改正点も含めて解説します。

通行に関するルール(囲繞地通行権)

囲繞地(いにょうち)とは道路などに接していない袋地を囲んでいる土地のことです。

囲繞地 図

上図のような位置関係ではCは直接道路につながっていない袋地となっています。この場合、A、B、Dが囲繞地となります。
道路に出ることができない袋地はそのままでは入ることも出ることもできない、実質的には利用が不可能な土地となってしまいます。そこで袋地では囲繞地を通って、道路に出ることができる囲繞地通行権が認められています(民法第210条)。また、必要がある場合には囲繞地に道路を開設することも可能です。
なお、この権利は袋地の所有者であれば、所有権移転登記を行っていない状態でも主張することができます。

囲繞地通行権のルール

通行権があるからといって、囲繞地であればどこでも自由に通行できるわけではありません。通行する場所は通行する権利を持つ者のために必要なもので、周囲の他人の土地にとって損害が最も少ないものを選ばなければなりません(同法第211条第1項)

囲繞地通行権のルール 図

例えば上図の場合では、Dを通るのが最短ルートであり、なおかつDに対する損害が最も少なくなるように設定します。ただし、どこをどのように通行するかは袋地を生ずるに至った経緯やこれまで実際に行われている通行の実情なども考慮して定められます。

補償金の支払い

囲繞地通行権の権利者は通行する囲繞地の所有者に補償金を支払う必要があります。なお、道路を開設した際に発生した損害については一括の支払い義務がありますが、それ以外の補償金については一年ごとの支払いで足りるとされています(同法第212条)

囲繞地通行権の例外

囲繞地通行権には袋地が発生した理由によっては例外規定があります。

囲繞地通行権の例外 図

図のように分割協議を行った結果、袋地が生じた場合は袋地の所有者は分割された他の土地のみを通行することが可能となります。上図でいえばCの所有者(利用者)はDのみの通行が認められます。また、この場合にはDの所有者に補償金を支払う必要はありません(同法第213条)。土地の一部を他人に譲渡した結果、袋地が生じた場合も同様です。

水流に関するルール

次は水流に関するルールです。
隣地同士に高低差がある場合、高い場所にある隣地から低い場所に水が流れていくことになります。このような自然な水流においては、低地の所有者は流れてくる水を妨げてはならないとされています(同法第214条)。なお、天変地異などのなんらかの事情により水流が妨げられた場合、高地の所有者は自己の費用で水流の障害を除去する工事を行うことができるとされています(同法第215条)

他にも貯水・排水などのために設けた工作物が壊れたり、塞がったりしたことによって、別の土地に損害をかける(損害をかけるおそれがある)ときは、損害を受ける土地の所有者は、損害をかける土地の所有者に修繕や水はけをさせることができ、必要なときは予防工事をさせることができること(同法第216条)や、土地の所有者は雨水が直接隣の土地へ注ぎ込むような屋根やその他の工作物(雨どいなど)を設けることはできないこと(同法第218条)が定められています。

相隣関係に関する法改正【最新】

現在日本では、「登記記録では所有者がわからない、もしくはわかっていても連絡がつかない土地」である所有者不明土地が問題となっています。これらの問題は相隣関係にも大きな影響を及ぼしており、既存の民法では解決できないケースも見られるようになりました。
そこで前述の通り2021年に改正民法が公布され、これらの問題の解決策が示されました。
ここからは2023年4月1日より開始(施行)される法改正について見ていきましょう。

隣地使用権

隣地使用権に関しては現行民法第209条において「土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するために必要な範囲内で、隣地に使用を請求することができる」と規定されています。しかし、この規定では使用を請求することができるだけであり、実際に使用できるかどうかは不明確でした。さらには隣地の所有者が所在不明等により連絡がつかないとなると、使用の請求自体が不可能になるといった問題も発生しました。

そこで改正民法では「土地の所有者は隣地を使用することができる」ことが明確に規定されました。ちなみに使用の目的については「隣地の境界やその付近に障壁や建物などを築造する、または収去や修繕をする」「境界標を調査する、境界に関する測量をする」「枝を切り取る」が列挙されています(改正民法第209条1項)

また、これらの目的に必要な範囲内において、隣地使用の日時、場所、方法は隣地の所有者(使用者)のために最も少ないものを選ばなければなりません(同法同条2項)。他にも隣地を使用する者は隣地を使用する目的や日時、場所、方法をあらかじめ隣地の所有者に通知する必要があります。ただし、隣地の所有者が所在不明などにより通知することが困難な場合には使用を開始した後に通知すればよいことになっています(同法同条3項)
なお、この規則によって使用できるのはあくまで隣の土地となります。隣地の住家に立ち入るためには居住者の許可が必要となります。

継続的給付を受けるための施設(ライフライン施設)の設置権

電気やガス、水道などのライフラインの引き込みができない場合、その土地の使用に大きな支障をきたすことになります。現時点においてもこのような場合は他人の土地にライフラインを引き込むための設備を設置する権利があると考えられています。しかし、それはあくまでも前述の隣地使用権などを類推適用する形で認めているにすぎません。

そのため、隣地の所有者が使用の請求に応じなかった場合や、そもそも隣地の所有者が所在不明になっていた場合の処遇については不明確でした。また、設置できた場合でも隣地の所有者への通知の義務や土地の使用に伴う補償金の支払いなどの規定もないため、トラブルの元となる場合もありました。

そこで改正民法では隣地使用権とは別に、ライフラインのための設備を設置する権利及び設置する際のルールが明文化されました。それが改正民法の第213条の2となります。

まず、ライフラインの引き込みができない土地の所有者は、他人の土地に継続的給付を受けるために必要な範囲で設備を設置し、使用することができるとされました。ただし、その際には他の土地等のために損害がもっと少ないものを選ぶ必要があります。また、設備を設置する者は設置により生じる損害について一年ごとに補償金を支払う義務についても規定されました。ただし、囲繞地通行権と同じく分割協議などによって、ライフラインの引き込みができない土地となった場合には補償金を支払う必要はありません。他にも隣地使用権と同様に施設を設置する際にはその目的や日時、場所、方法をあらかじめ隣地の所有者に通知する必要がある旨が規定されました。

枝の切除

最後は枝の切除についてです。現行の民法では隣地から越境してきた根については、切除してよいことになっています。しかし、越境してきた枝については勝手に切除することはできず、「隣地の所有者に枝の切除をさせることができる」にとどまっています。そのため、隣地の所有者が枝の切除に応じない場合には、枝の切除を求める裁判を提起、勝訴判決を得たうえで強制的に切除させるしかありませんでした。なお、この勝訴判決を得るためには単に枝が隣地から越境しているという事実だけでは足りず、その枝によって損害が発生するおそれがあることも必要となっていました。
さらに隣地の所有者が所在不明の場合、この訴えを起こすこと自体が困難となってしまいます。

そこで土地の所有者自らが越境してきた枝を切除できるケースについて以下の通り規定されました(改正民法第233条3項)

  • 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき
  • 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき
  • 急迫の事情があるとき

まとめ

以上が相隣関係に関する解説でした。この他にも「建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない(同法第234条)」や「境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側を設ける者は、目隠しを付けなければならない(同法第235条)」など、お隣さんとのルールは意外と細かく定められています。
不動産の所有者には所有権という強い権限が与えられています。民法には「所有権絶対の原則」というものがあります。所有権者は、その所有物を自由に使用・収益・処分することができ、これを侵害する者に対しては、その侵害を排除することができるという原則です。

ただし、所有権者だからといってなんでも好き勝手にその不動産を利用していいというわけではありません。不動産の利用には少なからず隣地への影響があります。隣地同士の所有者が互いの権利を侵害しないためにも、相隣関係の規定がつくられているのです。お隣さんとのトラブルを回避する、円満に解決するためにもこれらのルールを把握しておくことは重要であるといえるでしょう。

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